あの日,図書館員のお姉さんは,まるで本のなかから抜け出てきたかのように,目的の情報へと導いてくれた。あのとき,ボクは彼女の手をぎゅっとにぎって,ちょっとだけ目を閉じて,そしてまぶたをあけてみればよかったのかもしれない。そこは,きっと。
quote:IBM社のアルマデン研究センターの地下室では,何百台ものコンピュータが,1週間当たり2億5000万のウェブページを収集している。その51万GBのデータは,ウェブファウンテンと呼ばれる分析ツールで処理される。ウェブファウンテンは優秀な図書館員さえもみつけることができないような情報を探し出し,たとえば企業からの依頼で新製品の評判などの報告書を作成する。
一流のリベラリアン(図書館司書)は,情報の匂いを嗅ぎ分けることができる。調べたいことの答えは,どこかの本のなかに書かれている。だが,その本をどのように探し出すか,が問題だ。そのまんまのタイトルの本があれば簡単だが,同じ著者の本のどこかにあるかもしれないし,専門的な出版社であれば同じ出版社の本にも目を配る必要がある。そうして情報の匂いを嗅ぎ分け,1冊を探し出す。
グーグルを使うのには,やはり一流のリベラリアンと同じように情報を嗅ぎ分ける力が必要とされる。キーワードを変化させたり,オプションを追加したり,キャッシュで目的の言葉をすぐに確実にみつけたり,ちょっとだけ表示されている引用文から確かな答えの書かれているページをピックアップしたり。ウェブファウンテンがどれほど一般にはみつけられない答えを探し出す能力を持っているかはわからないが,わたしたちにはたぶんグーグルの方が身の丈に合っているだろう。ネットワーク上には必ず答えがある。ただ,それを探し出す力があるか,どうか,それだけだ。
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